Jmol

Jmol は PDB などのファイルを読み込んで、ファイルに記載された各原子の座標をもとに、タンパク質の立体図を表示するツールである。特定のアミノ酸残基をピックアップしたり、リガンドの位置を確認したりすることができる。操作は Jmol ウィンドウのツールバーを利用することで、ほとんどマウスだけで済ませる。

jmolの操作画面

ツールバーを利用したマウス操作のほかに、Jmol はスクリプトでも操作できる。Jmol の操作でよく利用されるスクリプトは、次のようなものがある。

Jmolのコマンド

選択範囲

特定の原子、残基、あるいは二次構造などを指定して選択することができる。select あるいは restrict を利用する。select を利用する場合は、選択した以外の原子も画面に表示されるが、restrict の場合は選択した範囲以外の部分は非表示にされる。以下の selectrestrict に変えても動く。


select 2,4,6      # 残基番号が2,4,6のアミノ酸を選択
select 1-100      # 残基番号が1から100までのアミノ酸を選択
select MET        # メチオニンを選択
select [PO4]      # リン酸を選択
select ATP        # ATP分子を選択

select *:A              # A鎖のすべての原子を選択
select MET:A            # A鎖のメチオニンを選択

select MET:A or PHE:A   # A鎖のメチオニンまたはフェノールを選択
select GLY:A and helix  # A鎖ヘリックスに含まれるグリシンを選択
select !MET

select within(10.0, [PO4])   # リン酸から10Å以内の原子を選択

select helix            # ヘリックス構造
select turn             # ターン構造
select sheet            # シート構造

select amino            # アミノ酸
select acyclic          # 環を持たない分子
select cyclic           # 環を持つ分子
select aliphatic        # 脂肪族 AGILV
select aromatic         # 芳香族 HFWY
select charged          # 荷電 RDEHK
select neutral          # 非荷電 RDEHK以外
select hydrophobic      # AGILMFPWYV
select backbone         # 主鎖の原子
select alpha            # Cアルファ原子

select nucleic          # 核酸分子
select at               # A または T
select cg               # C または G
select purine           # プリン塩基(A または G)
select pyrimidine       # ピリミジン塩基(C または T)

表示形式

backbonewireframecartoonribbonscpk および spacefill の 6 種類の表示形式を指定できる。

ribbons on
wireframe off
backbonewireframecartoon
backbone表示wireframe表示cartoon表示
ribbonscpkspacefill
ribbons表示cpk表示spacefill表示

表示色

色を表示を変更したりする場合は colour コマンドを利用する。

colour cpk           # 原子別に色をつける
colour amino         # アミノ酸別に色をつける
colour chain         # チェーン別に色をつける
colour structure     # 二次構造で色分けする
colour temperature   # 温度因子別に色をつける
colour charge        # 荷電度別に色をつける

colour red           # 選択した部分を赤くする
background white     # 背景を白くする

その他のコマンド

分子の断面図を表示させたい場合は slab コマンドを利用する。

cpk on          # 表示形式を CPK に切り替える
slab on         # 断面図
slab 20         # Z=20 オングストロームに設定
slab off
slab 20slab 60
slabによる断面図 slabによる断面図

ステレオ立体視できるように表示することもできる。

ribbons on
stereo on
stereo off
ステレオ立体視表示

labelコマンドを利用して、原子の名前や残基の名前などを表示させることができる。

# Aチェーン最初の10残基のアミノ酸名を表示
select 1-10:A
label %n
label off

label on       # (選択された)すべての原子と残基の名前を表示
label %c       # (選択された)チェーンの名前を表示
label %e       # (選択された)原子の名前を表示
label %i       # (選択された)原子の番号を表示
label %n       # (選択された)残基の名前を表示
label %r       # (選択された)残基の番号を表示