原子軌道
原子の周りにある電子の軌道は波動関数によって書き表すことができる。
\[
\begin{eqnarray}
\Phi_{1s} &=& \frac{1}{\sqrt{\pi}}\left(\frac{1}{a_{0}}\right)^{\frac{3}{2}}\exp\left(-\frac{r}{a_{0}}\right) \\
\Phi_{2s} &=& \frac{1}{4\sqrt{2 \pi}}\left(\frac{1}{a_{0}}\right)^{\frac{3}{2}}\left(2-\frac{r}{a_{0}}\right)\exp\left(-\frac{r}{2a_{0}}\right)\\
\Phi_{1s} &=& \frac{1}{4\sqrt{2 \pi}}\left(\frac{1}{a_{0}}\right)^{\frac{3}{2}}\frac{r}{a_{0}}\exp\left(-\frac{r}{2a_{0}}\right)\cos\theta
\end{eqnarray}
\]
分子軌道
分子軌道は原子軌道から作り出す。一般的に、原子軌道の一次結合として作られる(LCAO 法)。
n 個の原子軌道 χi からは n 個の分子軌道 Φi を合成できる。
\[
{\bf \Phi} = \begin{pmatrix} c_{11} & \cdots & c_{1n} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ c_{n1} & \cdots & c_{nn} \end{pmatrix} {\bf X}
\]
cij は LCAO 係数と呼ばれる。分子軌道計算では、最適な分子軌道の波動関数を見つけるための LCAO 係数を求める。この方法は大きく二種類に分けられる。
- 非経験的分子軌道計算法
- 半経験的分子軌道計算法
非経験的分子軌道計算法
電子の質量やプランク定数などの物理量の定数のみを与えて、分子軌道を計算する方法である。計算の精度は高いが、膨大な計算時間を要する。この方法で使われる基底関数は次に示したようなものがある。
- スレーター型軌道
- ガウス型軌道
- 最小基底
- split valence 基底
- 分極関数
半経験的分子軌道計算法
一部の量をコンピューターで計算せずに、実験で求めた実験値で置き換えることで計算時間を短縮させたり、計算を簡易化させたりする方法である。