タンパク質構造予測ツールなど

構造予測

タンパク質の酵素活性はその立体構造と深い関わりを持つ。タンパク質の立体構造を決定することは、タンパク質科学において非常に重要な分野といえる。現在、タンパク質の立体構造の決定に使われる実験的手法として、X 線結晶構造解析法、核磁気共鳴法、電子顕微鏡法がある。

X 線結晶構造解析法
タンパク質の結晶にあらゆる方向で X 線を照射し、その解析パターンからタンパク質立体構造を解析する方法。分子量の大きいタンパク質の立体構造も解析できる。しかし、解析にあたりタンパク質を結晶化させる必要がある。
核磁気共鳴法
溶媒中のタンパク質に NMR にりょう立体構造解析。結晶化の難しいタンパク質を解析できる。ただし、分子量が多くなると構造ができなくなる。
電子顕微鏡法
タンパク質の立体構造を顕微鏡を通して見ることができる。しかし、原子レベルの情報を観測できない。

実験的な立体構造解析手法に対して、バイオインフォマティクスの分野ではコンピューターを用いてタンパク質の立体構造を予測する研究が行われている。こうした構造予測の手法は大きく ab inition モデリングと比較モデリングに分けることができる。

ab inition モデリング
アミノ酸の特性や組成に基づいてタンパク質のフォールディングを計算し、立体構造をモデリングする方法。
比較モデリング
構造が既に解かれているタンパク質の情報を利用して、立体構造をモデリングする方法。相同性の高いタンパク質はほぼ同じ立体構造を取ることに基づいたホモロジーモデリングと、データベースに蓄積された様々な情報を利用して立体構造を導くタンパク質スレッディングとに分類するすることができる。

二次構造予測および disorder 領域予測

Jpred サイト 最新の SCOPe や UniRef90 のデータに対して PSI-BLAST や HMM のアルゴリズムで二次構造を予測するプログラム。
PSIPHRED サイト
NetSurfP サイト 表面残基および二次構造を予測するプログラム。
NetTurnP サイト β-ターンを予測するプログラム。
TMHMM サイト 膜タンパク質の膜貫通ヘリックスを予測するプログラム。
DISOPRED PSI-BLAST と SVM を内部的に実装した disorder 領域の予測プログラム。
PONDR サイト disorder 領域の予測プログラム。

比較モデリング

SWISS-MODEL サイト ウェブブラウザで簡単に利用できるホモロジーモデリング。
MODELLER サイト ホモロジーモデリングを行うプログラム。基本的にダウンロードして利用する。使い方は難しいものの、特定の領域の二次構造を制限したり、複数のアライメント切り貼りして利用できたりして、自由度が非常に高いプログラムである。
MEDELLER サイト ホモロジーモデリングを行うプログラム。膜タンパク質向けにパラメータをチューニングして作られた。膜貫通領域なども予測結果として表示される。ウェブブラウザ上で利用する。
MUSTER サイト PDB からテンプレートとなる配列を探してくるプログラム。
LOMETS サイト 内部的に様々なプログラム(MUSTER など)を組み合わせてタンパク質の構造を予測するプログラム。
I-TASSER サイト LOMETS や BioLiP データベースの情報等を利用してタンパク質の立体構造をモデリングするプログラム。
CPHmodels サイト ウェブベースのホモロジーモデリングプログラムである。テンプレートはプロファイル-プロファイルアライメントに基づいて得られたものを利用する。
ESyPred3D サイト ニュートラルネットワークなどのアルゴリズムを用いてテンプレートを検索し、それらのテンプレートを用いて続けて MODELLER でホモロジーモデリングを行うプログラム。

ab initio モデリング

QUARK サイト タンパク質のフォールディングと構造を予測するプログラム。
HMMSTR
ROBETTA

モデル評価プログラム

ModEval サイト
PROSESS サイト
HOPPscore サイト
Qmean サイト
ProSA サイト